野中税理士事務所通信

2019/02

No.53

今月の
テーマ

「 デュー デリジェンス 費 用 」

野中税理士事務所 通信No.53
「 デュー デリジェンス 費 用 」

1.

  • 事業承継を考慮して、中小企業のМ&Aを検討する件数が増えていると聞きますが、M&Aの実施にあたっては、 対象企業の財務状態把握のために弁護士や公認会計士などの専門家に財務調査を依頼することが多くなると 思われます。その財務調査業務に係る費用の税務上の取扱いはどのようになるでしょうか。
  • まず、M&Aとは「企業の合併・買収」を意味しますが、税務上、財務調査業務(これをデューデリジェンス といいます)に係る費用の取扱いは「合併」と「買収」とで異なります。すなわち、「合併」を目的として実施した デューデリジェンスは、一般的に一時の損金算入が認められます。 「合併」は、被合併法人の権利義務を合併法人に包括的に承継されるものである ことや、デューデリジェンスそのものは、端的にいうと対象企業の調査であり、 被合併法人から移転を受ける資産や負債に特段影響するものではないためです。

2.

  • 「買収」は対象企業自体の調査でなく、しかも移転を受ける資産や負債に影響する ものであると考えられています。そこで「買収」を実施するか否かの意思決定上の 重要な情報を得るデューデリジェンス費用の取扱いはどうなるでしょうか。
  • 「買収」の場合は、デューデリジェンスが意思決定前に行われたものか否かで異なります。意思決定前、つまり いくつかの企業を選定するためのデューデリジャンス費用は、一時の費用として損金算入することになります。 一方、意思決定後、買収価格の判断等を行うためのデューデリジェンス費用は、買収を前提として支出した 費用であるため、有価証券の取得価額に含めなければなりません。

3.

  • 買収の意思決定後にデューデリジェンスを実施した結果、最終的に買収を取りやめた場合にはどうなりますか。
  • 買収を取りやめてしまったデューデリジェンス費用は、その期において一時の損金に算入することができます。

FMサガ、NBCラジオ佐賀
「野中税理士の税務相談コーナー」放送中!
2月放送は 2月12日、26日(FMサガ) 
       【第2、4火曜】午後4時30分~
      2月 7日、21日(NBCラジオ佐賀) 
      【第1、3木曜】午後2時10分~

今日の
一句

うちは雪見障子をはっています。雪が降るとその雪景色が見えます。 そこで一句…

「 炬燵にて 明かり障子の 雪見酒」(心休まるひととき)        ♪ 舟唄 八代亜紀

今日の
一言

自ら問いかけ、深呼吸をして気持ちを整えた。全豪オープンテニス準決勝で大坂なおみが発した
言葉。甘く入った第二サーブを強打され「躊躇してしまった」と経験豊富な26歳の実力者につけ
こまれた時の言葉。

「少しでも落ち込んだり、敗北を受け入れたりしたら許さない」(大坂なおみ)