野中税理士事務所通信

2019/04

No.55

今月の
テーマ

「特別寄与者の支払う相続税は2割加算の対象」

1.

  • 例えば、被相続人より以前に死亡した長男の妻がどれほど被相続人の介護に尽くしたとしても、相続人でないから 相続財産を受けることができないと思われます。一方で、相続人である長女や次男などは、被相続人の介護を全く 行っていなかったとしても相続財産を取得できませんね。公平でないという指摘がありますが。
  • これを踏まえ、改正民法では、相続人以外の親族が、被相続人に対して無償で療養 看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人について特別の寄与をした場合、 相続人に対して金銭(特別寄与料)の請求することができるようになりました。

2.

  • この特別寄与者の受ける特別寄与料は、相続人からの相続財産の“相続”となるでしょうか。
  • この特別寄与料は相続人に対して請求し、支払いを受けるものですので、相続人の 相続財産から控除され、しかもその特別寄与者は被相続人から“遺贈”により取得したものとみなされます。

3.

  • この特別寄与者への特別寄与料は被相続人への療養看護のためのいわば被相続人への貢献としての“遺贈”と みられると思われます。相続税の優遇措置はあるのでしょうか。
  • 相続税法第18条では相続又は遺贈より財産を取得した者が、被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の者である 場合、相続税額を2割加算することにしています。この点、特別寄与者が支払う相続税額が2割加算の対象に なるかどうか気がかりですが、相続人ではない特別寄与者が遺贈により取得したとみなされる以上、2割加算の 対象になることになります。ちなみに、特別寄与料に関する規定は、平成31年7月1日以降に開始した相続から 適用される。

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今日の
一句

三瀬峠を越えてよく福岡に行くとこがよくあります。 そこで一句…

「 山里の 木々の緑に 桜映え 」(春模様)
             ♪ 桜坂 福山雅治

今日の
一言

芭蕉が「奥の細道」の旅に出るときのエピソードについて語りました。先月96歳でなくなられたキーンさんは、終戦の年に通訳官として自らの目で見た焼け野原の東京が8年後の留学時には生き生きとした街に生まれ変わったことを例に挙げ、震災後の復興を「全く疑いません」と断言したそうです。日本文化の力を信じたキーンさんはその後日本国籍を取得しました。

「杜甫は『国破れて山河あり』と書き記しましたが、芭蕉はそうではないと言います。山も崩れ、川の流れも変わる。それでも残るものは何か。それは人間の言葉です。」(ドナルド キーン)